【起業準備シリーズ】そもそも株式会社とは？

株式会社をつくりたい？
よくみたらキャラクタービジネスやってる顔ですね。

たしかに、わかっている人少ないかもしれないですね。

私たち生身の人間は、生まれたときから人として権利が認められていて法律行為ができますよね。
つまり、自分の名前で契約したりすることができますよね。

法人は法律によってつくられる「人と同じように法律行為をすることができる存在」のことです。
法人の名前で契約したりすることができるようになります。

そうですね。乱暴な言い方かもしれませんが、人の頭の中にしか存在しないものです。

会社は法人の種類のうちのひとつです。

法人は「営利法人」「非営利法人」のような分類のされ方をすることがあります。

「営利法人」は利益を追求して法人の構成員に利益を分配することを目的としています。

「非営利法人」は法人の構成員に利益を分配することを目的としない法人で、代表的なのは一般社団法人やＮＰＯ法人、学校法人、宗教法人などが挙げられます。

「営利法人」でいちばんメジャーな存在が株式会社です。
「会社法」という法律を根拠につくることができます。

では株式会社の歴史から振り返ってみましょうか。

株式会社のはじまりは1600年代初頭のオランダ東インド会社といわれています。

はい。
そのオランダ東インド会社が「有限責任」という考え方を発明をしたといわれています。

有限責任とは投資家が会社に出資をした金額以上の責任は負わないということです。
たとえば、株式会社に1,000万円出資したとして、その株式会社が事業に失敗してつぶれたとしても、その1,000万円の価値がゼロになるだけです。

いまじゃ当たり前に感じる有限責任ですが、それに対して「無限責任」という考え方がありまして、有限責任が発明されるまでは投資家は無限責任を負うしかありませんでした。

たとえば、投資家が出資した会社が借金したまま事業に失敗したら、会社の借金まるごと負担しなければならないのが無限責任です。

そうなんです。
これが有限責任となると、投資家は出資しやすくなりますし、事業者からみれば資金調達しやすくなります。

資金が集まるということは、より大きな事業をすることができるようになるんですよ。
人間ひとりでつくれる船の大きさなんて知れてるじゃないですか。

大金を集めて、人材を集めて力を合わせた方がより大きな船をつくることができます。
鉄道をつくることもできますし、油田を掘ることだってできるようになります。

それに小口でたくさん資金を集めるということはリスクヘッジにもなるんです。
それまでは王族・貴族から大口の資金を調達して船を建造して貿易事業をしていたものが、庶民も「株式」を買えるようになっていきました。
こうして証券取引所が誕生しました。結果、より大きな事業ができるようになっていきました。

株式というのは、簡単にいえば、出資をしてくれた人に対して渡す「証明書」のようなものです。株式を持っている人を株主といいます。

そうです。
こうして現在の株式会社の原型がうまれました。
現在の上場会社が本来の株式会社の形に近いといっていいかもしれません。

その仕組みが経済を大きく発展させてきたといっても過言ではありません。

株式会社は株主から出資を受けて事業をすることになりますが、株主から出資を受けた資金は、銀行からの融資とは異なり、返済する義務はありません。

会社は、その返済しなくてもよい資金を受け取るのと引き換えに、次の4つの権利を株主に与えることになります。

そうです。
それから、株主は株主総会で会社の経営者を選ぶことができます。
もちろん株主と経営者が同一人物であってもかまいませんが、法律上は別の地位です。

はい。
経営者は事業年度ごとに会社の決算書をつくって、株主総会で株主に事業と決算の報告をして、株主から決算の承認を受けなければなりません。

会社の売上や支出、現預金、借金などを記録した成績表のようなものです。
株主は、その成績表をみて、株式の売買の参考にしたり、成績が悪ければ、経営者を変えようかという判断になってきます。

経営者は株主から経営を任されているという関係ですので、経営者には任期というものがあります。

そのとおりです。
株主は経営者の任期ごとに経営者に継続して会社を経営してもらうか、辞めてもらうか判断していくことになります。

どうして上場したいんですか？

上場するメリットは主に2つあります。

はい。
ひとつは株式を売って換金できるようになるということです。
難しいことばでいえば、株式の流動性が上がるということです。

株式上場していない株式会社の株式は、ほぼ間違いなく「株式の譲渡制限」が付いていて、自由に譲渡することができません。
理由はまた後で説明します。

株式を持っている創業者は、株式の売却益を得ることができます。
ベンチャーキャピタルなどの投資家が出資している会社であれば、上場により投資資金を回収することができます。
ストックオプションを発行して、役員・従業員へのインセンティブを提供することができるようになります。

もうひとつの上場メリットは資金調達がしやすくなるということです。
株式会社の歴史でみたように、小口の出資を広く募ることができるようになるからです。
1億円持っている人が1,000万円出資するとなると難しいかもしれないけど、100万円だったらまあ出してもいいかなみたいな感覚ですね。
逆に銀行からの融資で資金調達できる事業であれば、上場する必要はないんです。

この2つの目的がなければ、上場する必要がないといえます。

それはあくまでも上場の副産物みたいなもので、上場の本質ではないです。
それらは上場しなくても得られるものです。

竹中工務店、YKK、佐川急便、大創産業（ダイソー）、JTB、ロッテ、小学館、朝日新聞社など非上場でも有名企業はたくさんあります。

まずは、上場維持コストがかかるということです。
内部統制の構築やIR（投資家向け広報）など必要な部署を置かなければなりませんし、株主総会の開催、監査法人による監査など、年間1億円以上かかるといわれています。

投資家向けに決算内容やビジネスモデルを公開しないといけないところもデメリットといえます。

あとデメリットとしては、メリットの裏返しでもありますが、誰でも株式を買えることになるので、誰に株式を買われても仕方がない。誰が株主になるかわからない。というのがあります。

そうです。それがいやならMBOして非上場化した方がいいです。

Management Buyoutの略称で、会社の経営陣が自社の株式を買い集めて自らオーナー経営者になることです。
吉本興業や、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブなど、この手法で非上場化した会社はけっこうあります。

そうです。
世の中のほとんどの株式会社は株式の譲渡制限がついた非公開会社です。
「非上場会社」と「非公開会社」は同じ意味ではないですが、ここではそれほど気にする必要ありません。

ちなみに非上場会社を「プライベートカンパニー」、上場会社を「パブリックカンパニー」と呼んだりすることもあります。

ひとつは会社の株式が望まない人に渡るのを防ぐためです。
株式は会社の支配権みたいなものですから。

主にオーナー経営者からみて望まない人ですね。
オーナー経営者とは、自ら会社に出資して、かつ、自ら経営している人です。

そうですね。
法律上は別の地位ですが、事実上、所有と経営は分離されていないことが多いです。

株主間の持株比率を維持するためです。

株主間の譲渡を制限なく認めてしまった場合、筆頭株主だと思っていたら、第2位の株主が少数株主から自由に株式を取得してしまい、筆頭株主の地位が脅かされることになりました。みたいなことになりかねません。

それから、株式会社の歴史のところで出てきた有限責任についても、補足があります。

会社が銀行から融資を受けるときは、会社代表者、つまり社長のことですが、社長が連帯保証人になるのが普通です。

結局、社長個人が無限責任を負うような形になります。
上場会社にはそういうのないんですが。

株式会社といっても、上場している会社とそうでない会社とではだいぶ違うんですよ。

え？