養子の相続どうなりますか?

香川県高松市の司法書士 川井事務所です。

養子についての相続トラブルはよくあります。

原因は養子縁組についての誤った知識によるものが多いように見受けられます。

今回は、養子縁組の種類、相続の順位と相続分、トラブル事例などについて取り上げます。

目次

普通養子と特別養子

養子って相続トラブルになることが多いんですか?

司法書士K

なんですか、急に。

私、だいぶ昔に養子縁組したんですよ。

司法書士K

そうなんですか。

養子の相続について知っておきたいと思いまして。

司法書士K

わかりました。
養子には「普通養子」と「特別養子」の2種類があります。

そうだったかもしれない。

司法書士K

まず普通養子がどういうものか見直しておきましょう。

はい。

司法書士K

普通養子の要件は次のとおりです。

  • 養親が20歳に達していること
  • 親族の上の世代を養子にすることができない 例)子が父母や祖父母を養子とすることはできない
  • 年長者を養子とすることができない 例)兄・姉が弟・妹を養子とすることはできるが、弟・妹が兄・姉を養子とすることはできない
  • 配偶者のある人が「未成年者」を養子とするときは、配偶者とともにしなければならない(配偶者の嫡出子を養子にする場合、配偶者が意思表示をすることができない場合を除く)
  • 配偶者のある人が「成年者」を養子とするときは、その配偶者の同意を得なければならない(配偶者とともに縁組する場合、配偶者が意思表示をすることができない場合を除く)
  • 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可が必要(自分や配偶者の下の世代を養子とする場合を除く) 例)孫を養子にするときは、家庭裁判所の許可は不要

けっこういろいろありますね。

司法書士K

縁組の手続きとしては、養子縁組届を養親または養子の本籍地(または住所地)の市区町村役場に提出します。
20歳以上の2人の証人のサインが必要です。
また一般的には当事者の戸籍や本人確認書類が必要です。

婚姻届と似ていますね。

司法書士K

養子縁組が成立すると、養親と養子の間で法律上の親子関係が生まれます。
ここからが重要なんですが、普通養子の場合、実親との法律関係は変わらないまま、つまり親子のままということです。

そうですね。

司法書士K

養子は、養親の相続権もありますし、実親の相続権もあります。
その代わり、養親に対しても、実親に対しても扶養義務があります。

ということは、特別養子は違うということですか?

司法書士K

はい。
特別養子は、実親との親子関係は解消されることになります。

・・・・・。

司法書士K

特別養子縁組は、原則として15歳未満の未成年者の福祉のための制度です。
さまざまな事情により実親のもとでは暮らせない子どもの利益のために特に必要がある場合に、家庭裁判所により認められるものです。

養子の相続の順位と法定相続分

ちなみに私は、普通養子です。

司法書士K

はい。

実親には長男A・長女Bが、つまり私の兄・姉がおり、養親には実子がいません。

司法書士K

わかりました。

相続分はどうなりますか?

司法書士K

実子・養子に関わらず子は第1順位の相続人で、法定相続分も平等です。今回のケースでは、養親からはすべて相続することになり、実親の相続は兄弟3人で3等分することになります。

なるほど。

トラブル事例

何か相続でもめそうな雰囲気はなさそうですが・・・

司法書士K

たとえば、実親の長男Aさんや長女Bさんが、他家に養子にいった兄弟姉妹には相続権がないと誤解している場合があります。

ああ。

司法書士K

つまり、AさんBさんの相続分が2分の1ずつだと思い込んでいる場合ですね。

実際は私とあわせて3分の1ずつだと。

司法書士K

人はもらえるものと算段していたものがもらえないとわかったときに、かなりネガティブな感情を抱きますからね。

こわいです。
人からもらったプリンを後で食べようと冷蔵庫に入れておいたら、誰かに食べられていたときのあの怒り。

司法書士K

逆に、養子縁組した養親に、もし実子がいた場合は、実子の相続分が減ることになりますので、それでもめる可能性もあります。

こわいです。
人からもらったいちごのショートケーキを後で食べようと冷蔵庫に入れておいたら、誰かに食べられていたときのあの怒り。

司法書士K

相続は大事なことなのに、誤解や思い込みが本当に多いんですよ…

まとめ

  • 普通養子の場合、実親との法律関係は変わりません
  • 普通養子は実親と養親の相続権があります
  • 実子・養子に関わらず子は第1順位の相続人で、法定相続分も平等です

参考書籍

『新訂 設問解説 相続法と登記』幸良秋夫(著)|日本加除出版

当事務所のご案内

あわせて読みたい
相続による不動産名義変更(相続登記) 面倒な不動産相続手続きはお任せください 相続の問題はいつかほとんどの人が直面するものですが、人生においてそう何度も経験するものではありません。多くの人にとって...
当事務所の特徴などはこちら

— どうぞお気軽にご相談ください。—

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

愛媛県四国中央市出身
早稲田大学政治経済学部卒業

平成28年司法書士試験合格
平成29年から約3年間、東京都内司法書士法人に勤務
不動産登記や会社・法人登記の分野で幅広く実務経験を積む

令和2年から香川県高松市にて開業
地元四国で超高齢社会の到来による社会的課題への取組みや地方経済の発展のために尽力している

目次