会社の登記簿の見方・取り方を教えてください

言うやん、急に。

では、まず会社の登記簿とは何かみていきましょう。

会社って目に見えないものじゃないですか？

それは、会社のオフィスです。
会社はオフィスがあるから存在しているんじゃあないですよ。

私たち生身の人間は、生まれたときから人として権利が認められていて法律行為ができますよね？

会社は、法律によってつくられる「営利事業を目的として、人と同じように法律行為をすることができる存在」のことです。
会社の名前で契約をしたり、資産を保有したり、銀行口座をつくったりすることができるようになります。

そうなんです。
だから、実体がない存在なんですよ。

そこで登場するのが「登記制度」です。

国が管理する登記簿という帳簿があります。
会社は、その登記簿に設立の登記をすることで誕生します。
つまり、登記されていることではじめて会社の存在を確認することができるというわけです。

登記簿には法律で登記すべき内容が定められています。
たとえば、会社名・本店の場所・役員の名前などです。

法務局という役所に行って、手数料を払って請求すればだれでも取得することができます。
この登記簿があることで会社の取引を円滑なものにしています。

この登記されている内容に変更が生じたら変更の登記をしなければなりません。
会社の登記は法律上の義務です。
たとえば、会社の役員が変更になったとします。
変更の効力発生日から2週間以内に登記しないと過料という制裁金のようなものを払わなければならないことがあります。

この会社の設立や変更の登記の申請を代理するのが司法書士の仕事です！！

え？

では登記簿のサンプルを見てみましょう。

会社の登記簿のサンプルです。
もちろん実在しない架空の会社のものです。

登記簿の左の列が登記事項といって法律で登記せよと決められている内容です。
これで全部ではないですが、会社設立当初はこんな感じです。
簡単に内容を見ていきましょう。

この架空の会社は、令和4年5月2日に設立の登記がされたことにより誕生しています。

令和4年6月22日に「発行済株式の総数」と「資本金の額」が変更になっています。
これはその日に増資が行われたということを意味しています。

はい。
下線部分は抹消された情報ということを表しています。

株主は登記簿には記載されません。
登記簿から誰が株主なのかはわかりません。

そうです。変更された内容の履歴は残ります。
たとえば、会社名を頻繁に変更していたりするとその履歴が残ります。
理由が説明できるものであればいいですが、そうでなければ、会社の信頼を損なう可能性は高いです。

ところで、登記の変更の履歴は残るのですが、取得する登記事項証明書の種類によっては履歴が表示されません。

法務局で手数料を払って請求すれば誰でも登記簿を取得できるという話をしました。
正しくは「登記事項証明書」という証明書を取得します。

それは登記簿が紙だった時代のことばです。
謄本とは、原本の内容の全体を原本そのままに完全に写した文書のことをいいます。
登記事項証明書の昔の言い方ですね。
いまだに登記簿謄本と呼ばれることが多いですが。

会社の登記事項証明書にはいくつか種類があります。

基本的には履歴事項証明書を取得することになると思います。
登記事項の変更の履歴が記載されています。
登記事項証明書には、登記官の認証文というものが付きます。

さきほどみた登記簿のサンプルの下の方に書かれてあった部分です。

はい。
この認証文の入った登記事項証明書は、証明書として利用することができます。

たとえば、会社名義の銀行口座をつくるために銀行に提出する場合などがあります。

そうですね。
法務局窓口で請求することもできますし、こちらのウェブサイトから請求して郵送してもらうこともできます。

請求するためには、登記簿を取得したい会社の会社名と所在地の情報が必要です。
所在地は都道府県単位でもかまいません。

ところで、登記されている内容だけ閲覧できるサービスがあれば便利だと思いませんか？

証明書として使うわけではないけど、登記されている内容だけ見たいという場合です。

「登記情報提供サービス」というインターネットを使ったサービスがあります。

インターネット上で、登記されている内容を閲覧できるというものです。
登記官の認証文の入った登記事項証明書ではないので、証明力はありません。

ちなみに、利用時間が、2022（令和4）年10月1日から次のように拡大変更されました。

ありがたいです。

私の仕事をよく知っているじゃないですか。

うう…