2025年司法書士業務を支えてくれた実務書7選

香川県高松市の司法書士 川井事務所です。

AIが飛躍的な進歩を遂げ、実務にも徐々に影響を強めてきた2025。

もちろんAIを活用した方が業務の効率化につながります。

実務書とAIを組み合わせたサブスクなんかも登場していて、そんなものは使った方がいいに決まっています。

しかし、今のところ個人的には実務書だけは紙の書籍でしか買わないアナログ派でご機嫌を伺っている2025。

買ったまま読まずに積んである書籍が視界に入るたびに、読んだらどうや?という重圧をかけてくるのが紙の書籍のいいところです。

なお、過去の実務書7選はこちらのリンクからご参照ください。

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目次

Q&A 投資事業有限責任組合の法務・税務(改訂版)

私は、司法書士試験に合格する前は、東京都港区にある会計事務所で不動産証券化業務に携わっていました。

不動産証券化業務って何ですか?という人もいるかもしれません。

不動産証券化とは、不動産の所有者が、キャッシュフローを生み出す特定の資産を自らのバランスシートから切り離し、倒産隔離や信用補完の措置を施すことで当該資産にかかるリスクを目的にかなった形に加工し、有価証券などの流動性の高い投資商品を発行することをいいます。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

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そんなわけで、GK-TKスキームやTMKスキームがどういうものかわかっていて、以下のような記事も書いてきたのでした。

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不動産証券化業務はやはり東京など大都市のごく限られた人だけが関わるもので、その閉じた世界で完結しているため、新規でそこに入っていくのは、難しいイメージがあります。

ましてや香川県に移って開業している司法書士に不動産ファンドの仕事なんてくるはずないと思いつつ、半ばふざけた気持ちでSNSで不動産ファンドの仕事来ないかなと執拗に投稿していたのでした。

すると、ついに不動産ファンドの仕事の紹介が来た2025。

本当に来てどうする。

投資事業有限責任組合(LPS)組成とGK-TKスキーム組成の依頼が来ました。

ありがた山でごぜえやす。

やりたいことは発信した方がいいです。

それで書棚から引っ張り出してきた『Q&A 投資事業有限責任組合の法務・税務(改訂版)』。

LPS関連の法務・税務が詳しく解説されており、LPSの実務に携わるためには本書は必携。

適格機関投資家等特例業務(金商法63条)についての解説も詳しく参考になります。

読みたくないものだな、金商法の条文だけは。と言いたいところですが、条文にも目を通しておいた方がよいでしょう。

登記に直接関係はしないのですが、そういった金商法上の業務も概要をわかっていなければ依頼者との会話が成立しません。

ただし、本書は登記についての記述はそれほど多くありません。

また、有限責任事業組合(LLP)を無限責任組合員(GP)とするLPSの登記を可能とする投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則7条1項3号新設の改正前に出版された書籍であるため、改正前の内容となっている箇所には注意が必要です。

LPS関連の書籍としては、ほかに『LPS法/LLP法』があります。

2025年に出版された、逐条解説になります。

これもあった方がよいでしょう。

LPSで1本記事を書いておきたい2026。

それから、私が書いた不動産証券化の記事を読んでご連絡をくださった同業の先生がいたのですが、その先生とお会いすることができたのが2025年に嬉しかったことの一つです。

スタートアップ投資契約 モデル契約と解説

スタートアップといえば、優先株式。

何度か優先株式発行に遭遇した2025。

J-KISS転換についてもいくつかのケースを経験しました。

本書は優先株式を用いたスタートアップ投資についてモデル契約を提示し、逐条解説してくれています。

具体的には、「種類株式発行要項」「株主間契約」「株式引受契約」の解説がされており、登記に関わるところでは「種類株式発行要項」のパートが大変参考になります。

本書より詳しい解説はなかなかお目にかかれないかもしれません。

発行要項と株主間契約との関係性もあるので、本全体に目を通しておいた方がよいでしょう。

実務上、株主間契約とは別に「財産分配契約」等と呼ばれる契約が締結されることがありますが、その理由についてなど、実務上の取扱いについてもいろいろと書かれてあり、重宝します。

なお、モデル契約は一般公開されており、以下のサイトからデータをダウンロードすることができます。

商事法務サイト
https://www.shojihomu.co.jp/publishing/details?publish_id=3156&cd=2828

内閣府モデル定款から読み解く公益・一般法人の法人運営手続 財団編 上・下巻

分厚い。

上下巻ありますが、一巻で商業登記ハンドブック並の分厚さ。

一般財団法人の設立の依頼が来た2025。

ということでなぜか持っていた本書を書棚から引っ張り出してきました。

「内閣府モデル定款から読み解く~」とあるとおり、モデル定款を元に逐条解説がされています。

設立時のみならず、設立後から解散清算まで、あるいは合併などの解説がされています。

委員会や事務局の運営についても書かれてありますし、会員規則やプライバシーポリシーの記載例もあります。

なんて充実しているんだ。

どうりで分厚いわけです。

そういえば、2024年の実務書7選の記事で「一般法人の依頼はもっと増えてほしい」と書いていました。

順調に増えている気がします。

ありがた山の寒がらす。

Q&A 法人登記の実務 事業協同組合

協同組合の依頼が来た2025。

協同組合の登記、はっきり言ってやったことがありませんでした。

ということで急遽本書を購入。

訳の分からん未知の法人の相談が来ればとりあえず「Q&A 法人登記の実務シリーズ」にその法人の本があるかどうか調べます。

以前にも「NPO法人」など何冊か買いました。

協同組合といえば、うちの実家は元々豆腐屋をしており、幼少の頃は家の敷地内に小さな工場があったことを薄っすらと覚えているのですが、豆腐屋は「協業組合」になり、実家の工場はなくなりました。

「早朝に近所に豆乳を配達するのを手伝っていたっけ…」と遠い目をしているうちに時間は過ぎていき仕事は一向に前に進まないし、そもそも「共同組合」と「協業組合」は似ているようで別物です。

それはともかくとして本書のおかげで何とかなりました。

事業協同組合の設立から合併や解散清算まで一通り網羅された内容となっています。

もちろん事業協同組合の根拠法である中小企業等協同組合法の条文は読んだ方がよいでしょう。

「会社法」法令集〈第14版〉

会社法法令集第14版。

会社法、会社法施行令、会社法施行規則、会社計算規則などの条文に金子登志雄先生のちょっとした解説が付いています。

実務でもよく利用したけど、ある書籍の執筆のためにずっと本書を開きっぱなしだった2025。

特に236条、238条あたりのページは開きすぎて、紙にクセがついて、すぐにそのページが開くようになってしまいました。

それが紙の本です。

来年その本が発売されたらみんな買えばいいと思うよ。

目からウロコ!これが増減資・組織再編の計算だ!〈新訂版〉

これが増減資・組織再編の計算だ!と言い切っているところが素晴らしいタイトル。

主に貸借対照表の純資産の部にかかわる登記の計算について、会話形式でわかりやすく解説されているので、各テーマの概要を知りたい場合はまず本書を開くことが多いです。

絶版になっていたところX(Twitter)で話題になり2024年に新訂版として再刊されました。

表紙に待望の復活!と書いてあるのがいいですね。

感謝です。

わかりやすいとはいえ、簿記の知識がないと理解するのが難しいかもしれません。

司法書士が独立開業したら自分の事務所の会計も把握する必要がありますし、簿記の勉強はしておいて損はないでしょう。

それから、合併、会社分割など組織再編の依頼はもっと増えてほしいので、よろしくお願いしますと言っておきます。

渉外不動産登記の法律と実務

7冊中6冊が商業・法人・組合登記関連になってしまったので1冊ぐらいは不動産をということで選んだのが本書。

しかも唯一選んだ不動産登記の書籍が渉外不動産登記。

海外在住の外国人による四国の不動産購入の手続きをお手伝いすることになった2025。

本書(改訂前)を参考にしました。

ただし、本書発売以降、外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請の際にローマ字氏名を提供するようになったり、国内連絡先を申請情報とするなどの改正がありました。

2025年11月に改訂版が発売されたので、今から購入される方は改訂版をご購入ください。

この時に四国の不動産を買った方がそのまま日本で会社を設立しましたが、その手続きも担当しました。

そのことについてはまた別の記事で書くかもしれません。

ところで、宣誓供述書の翻訳をするのにChatGPTが大変役に立ちました。

通常の翻訳ソフトと違うのは、相談しながら訳文を作ることができるところです。

公文書として正しい表現かどうかなどを相談することができます。

そんな時代になりました。

番外編 月刊登記情報760号(2025年3月号)

手前味噌で恐縮ですが、業界誌デビューした2025でございます。

月刊登記情報760号(2025年3月号)でスタートアップ向けモデル原始定款の解説記事を担当しました。

現在「登記秘書」にも掲載されていますので、ご参考にしていただければ幸いです。

ご紹介した書籍

『Q&A 投資事業有限責任組合の法務・税務(改訂版)』ファンド法務税務研究会(著)|税務経理協会

『LPS法/LLP法』石川 魁(著)|商事法務

『スタートアップ投資契約 モデル契約と解説』宍戸善一、ベンチャー・ロー・フォーラム(VLF)(編集)|商事法務

『内閣府モデル定款から読み解く公益・一般法人の法人運営手続 財団編 上巻』渋谷幸夫(著)|全国公益法人協会

『内閣府モデル定款から読み解く公益・一般法人の法人運営手続 財団編 下巻』渋谷幸夫(著)|全国公益法人協会

『Q&A 法人登記の実務 事業協同組合』吉岡誠一(著)|日本加除出版

『「会社法」法令集〈第14版〉』中央経済社(編集)|中央経済社

『目からウロコ!これが増減資・組織再編の計算だ!〈新訂版〉』金子登志雄、有田賢臣(著)|中央経済社

『改訂 渉外不動産登記の法律と実務 相続、売買、準拠法に関する実例解説』山北英仁(著)|日本加除出版

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この記事を書いた人

愛媛県四国中央市出身
早稲田大学政治経済学部卒業

平成28年司法書士試験合格
平成29年から約3年間、東京都内司法書士法人に勤務
不動産登記や会社・法人登記の分野で幅広く実務経験を積む

令和2年から香川県高松市にて開業
地元四国で超高齢社会の到来による社会的課題への取組みや地方経済の発展のために尽力している

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