不動産を売ることが決まったけど、登記識別情報あるいは権利証をなくした、自分で相続登記やったあとなんだかよくわからないので捨てちゃいましたーとか、あるかもしれないけどとにかく決済日までに見つからない・・・
この場合、資格者代理人である司法書士が本人確認情報というものを作成しなければなりません。
法律上、事前通知制度という方法も用意されていますが、不動産決済の場合は、売買代金を払ったのに登記が完了するかどうか不確実な状態に置かれるため、実務上利用されることはありません。
本人確認情報/面識がある場合
通常、不動産の売主と決済を担当する司法書士との間に面識がないことがほとんどだと思いますが、まれに面識がある場合があります。
本人確認情報を作成する際は、面識がある場合でも資格者代理人が必ず面談する必要があります(不動産登記規則第72条第1項第1号)。
そして同条同項第2号により面識のある場合は、本人確認情報に、当該申請人の氏名を知り、かつ、当該申請人と面識がある旨及びその面識が生じた経緯を明らかにする必要がありますが、面識があるといっても、ただ名前や顔を知っているというのでは足りず、以下に該当すれば「面識あり」と認めらえることになります(不動産登記事務取扱手続準則第49条第1項)。
- 資格者代理人が、当該登記の申請の3か月以上前に当該申請人について、資格者代理人として本人確認情報を提供して登記の申請をしたとき。
- 資格者代理人が、当該登記申請の依頼を受ける以前から申請人の氏名及び住所を知り、かつ、当該申請人との間に親族関係、1年以上にわたる取引関係その他の安定した継続的な関係の存在があるとき。
たとえ、親族関係にあっても名前を知っている程度で会ったことがないというのでは「面識あり」に該当しません。
本人確認情報には、どのような親族関係にあるかを特定し、氏名住所を知り面識があることを記載しなければなりません。
たとえば、「登記義務者であるAは、資格者と〇〇の関係にあり、住所及び氏名は知っている。また、法事等でここ2、3年でも数度会っている」などと記載することになります。
面識があるため、登記義務者の身分証明書の写しの添付は不要となります( 不動産登記規則第72条第2項参照) 。
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