2022年4月から成年年齢引下げで何が変わる?

香川県高松市の司法書士 川井事務所です。

2022年4月1日から成年年齢(成人年齢)が20歳から18歳に引き下げられます。

2022年4月1日の時点で、18歳以上20歳未満の方(2002年4月2日生まれから2004年4月1日生まれまでの方)は、その日に成年に達することになります。
2004年4月2日生まれ以降の方は、18歳の誕生日に成年に達することになります。

この記事では、成年年齢引下げの理由、何が変わり何が変わらないのか、お酒やタバコはいいのかダメなのか、銀行の方針、問題点や対策などを取り上げています。

目次

成年年齢引下げの理由

世の中興奮することはいっぱいありますけど、ただやっぱりいちばん興奮するのは「成年年齢引下げ」ですね。

司法書士K

間違いない。

司法書士K

では、18歳の役をお願いします。

こんにちは。
私は18歳で4月から東京の大学に通い始めた。
実家を出て初めてのひとり暮らしだし、期待と不安で胸がいっぱいだといっていいのかもしれない。

司法書士K

わかりやすく説明的なセリフで登場しましたね。
こんにちは。

4月からいきなり「成年」になりました。
誕生日でもないのに。

司法書士K

そうですね。
4月1日時点で18歳・19歳の人はその日に成年になります。

どうして成年年齢が引き下げられることになったんですか?

司法書士K

理由としては次のことがあげられます。

  • 近年、公職選挙法の選挙権年齢や憲法改正国民投票の投票権年齢を18歳と定めるなど、18~19歳の若者にも国政の重要な判断に参加してもらうための政策が進められてきたこと
  • 世界的にも成年年齢を18歳とするのが主流であること
  • 18~19歳の若者の自己決定権を尊重し、その積極的な社会参加を促すことになると考えられるため

世界的には成年年齢は18歳が主流なんですね。

何が変わるの?変わらないことは?

私も成年になったことなんだし、酒を酌み交わして、じっくり語り合うというのもいいんじゃないかな。
高田馬場の「清瀧」にでもいきますか。

司法書士K

4月の18歳のセリフとは思えないけど。
成年になっても20歳まではお酒は飲んじゃダメなんですよ。

成年になっても20歳まではお酒は飲んじゃダメ。

では一体何が変わるというのですか?

司法書士K

ひとりで有効に法律行為ができるようになりますよ。

ちょっと何言ってるかわからないです。

司法書士K

親の同意なしで、自分の考えだけで様々な契約をすることができるようになります。
たとえば、携帯電話の契約をしたり、クレジットカードをつくったり、一人暮らしの部屋を借りたりすることができるようになります。

わかった気がする。逆にこれまでと変わらないことは何ですか?

司法書士K

さっき言った飲酒のほかに、喫煙や競馬・競輪などはこれまで同様に20歳にならないとできません。

司法書士K

成年年齢引下げで変わるもの・変わらないものをまとめると次にようになります。

18歳(成年)になったらできること→変わること

  • 親の同意がなくても契約できる
  • 親の同意がなくても起業できる
  • 裁判員に選ばれる可能性がある
  • 実名報道
  • 10年有効のパスポートを取得する
  • 公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取る
  • 性同一性障害の人が性別の取扱いの変更審判を受けられる

20歳にならないとできないこと→変わらないこと

  • 飲酒
  • 喫煙
  • 競馬、競輪、オートレース、競艇の投票券(馬券など)を買う
  • 養子を迎える
  • 大型・中型自動車運転免許の取得

※結婚は、女性の結婚できる年齢が16歳から18歳に引き上げられ男女とも18歳になります。

けっこうできることが増えますね。
裁判員に選ばれる可能性があると言われると「大人」って感じがする。

司法書士K

高校生にとったアンケートによると、「起業」への関心も高いようです。

契約できるということは、お金も借りられるようになりますよね?

司法書士K

そうですね。ただ、銀行側がカードローンの利用は4月以降も20歳以上に据え置きにするという方針を決めています。
住宅ローンのように使い道が明らかなものであれば認めるところもあるようです。

問題点

未成年が契約するには親の同意が必要ですが、同意なしで契約した場合どうなりますか?

司法書士K

未成年者が親の同意なしにした契約は、「未成年者取消権」によって、その契約を取り消すことができます。

そういえば聞いたことあるような・・・

司法書士K

未成年はかなり手厚く保護されているんですよ。

その手厚い保護が、もうない。

対策

司法書士K

契約には様々なルールがありますから、その知識がないまま安易に契約を交わすとトラブルに巻き込まれる可能性はあります。
社会経験に乏しく、保護がなくなったばかりの成年を狙い撃ちする悪質な業者もいます。

急に怖いこと言ってきますね。
でも確かにそうかもしれない。

司法書士K

そうした消費者トラブルに遭わないためには、未成年のうちから、様々な契約ルールを学び、理解した上で、その契約が必要かよく検討する力を身につけておくことが重要ですね。

と言われてもどうしていいか。

司法書士K

消費者庁の「18歳から大人」特設ページでは、「18歳から大人」として行動できるよう、関連する情報を紹介しています。
「社会への扉」が参考になると思います。

そうなんですね。

司法書士K

また、消費者トラブルに巻き込まれた場合や困ったことが起きてしまった場合の相談窓口として、消費者ホットライン「188(いやや)!」が設置されています。
困ったとき、おかしいなと思ったときにはしっかり相談ができることも大事です。

何かおかしいなと思ったら迷わず「188(いやや)!」に電話をするのが大事。

まとめ

  • 2022年4月1日から成年年齢(成人年齢)が20歳から18歳に引き下げられます
  • 成年になると親の同意がなくても契約や起業することができるようになります
  • 飲酒・喫煙・競馬や競輪などはこれまで同様20歳にならないとできません
  • 未成年のときのように手厚い保護はなくなりますので、しっかりと社会のルールを学びましょう

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この記事を書いた人

愛媛県四国中央市出身
早稲田大学政治経済学部卒業

平成28年司法書士試験合格
平成29年から約3年間、東京都内司法書士法人に勤務
不動産登記や会社・法人登記の分野で幅広く実務経験を積む

令和2年から香川県高松市にて開業
地元四国で超高齢社会の到来による社会的課題への取組みや地方経済の発展のために尽力している

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