法律上の論点は特段見当たらないけど、実務上、印鑑届書どうするの?という疑問がよぎるのがこのテーマではないでしょうか。
この記事は、前提となる管轄外本店移転のみの場合を振り返りつつ、本題である代表取締役変更との同時申請をする場合についてふれるという構成となっていますので、前提はわかっているという方は、本題の方だけ読んでいただければ十分かと思います。
管轄外本店移転
管轄外本店移転、つまり、法務局の管轄をまたぐ会社の本店移転登記をした場合、移転先の管轄では新しい会社の登記簿が作成され、旧管轄の登記簿は閉鎖されることになります。
そして、移転先の管轄で会社実印の登録もされて、新しい印鑑カードが発行されることになり、本店移転前まで使っていた印鑑カードは使えなくなります。
具体的には、旧管轄経由で新管轄に印鑑届書を提出することになるのですが、会社の設立や代表者の変更のときと異なり、印鑑届書に代表者個人の実印を押印して、印鑑証明書を添付する必要はありません。
本店を移転するだけで、代表者に変わりはなく、印鑑を登録する代表者の意思を確認する必要はないからです。
ところが、管轄外本店移転と代表取締役変更を同時に申請する場合は話が違ってきます。
管轄外本店移転と代表取締役変更の同時申請
具体例でみていきましょう。
横浜市(横浜本局)から東京都千代田区(東京本局)に本店移転と同時に代表取締役をAからBに変更するとします。
新管轄である東京本局だけではなく、旧管轄である横浜本局にも新代表Bの印鑑届書を提出することになります。
通常の代表取締役変更のため代表者個人の実印の押印と印鑑証明書の添付が必要となります。
旧管轄に提出する印鑑届書に記載する本店は、私の場合、新本店である東京都千代田区の本店を記載しています。
理由は、本店移転という事実が発生した後の登記申請だし、旧管轄に提出する登記委任状には新本店を記載するから、というものですが、旧本店を記載しても法務局からは何も言われないかもしれません。
印鑑カードは引き継ぐにチェックをしておけばいいと思います。
引き継いだところで、新管轄の印鑑カードが交付されるため、ほとんど意味はないのですが。
新管轄に提出する印鑑届書は、通常の管轄外本店移転の場合と同じです。
印鑑届書とあわせて印鑑カード交付申請書を提出します。
— どうぞお気軽にご相談ください。—