香川県高松市の司法書士 川井事務所です。
会社を設立する際、「事業年度の開始日に合わせて4月1日に設立したい」「縁起の良い大安や一粒万倍日を設立日にしたい」といったご希望は多くあります。
しかし、これまではその希望する日が土日や祝日などの「休日」にあたる場合、その日を会社の設立日にすることはできませんでした。
ところが、令和8年(2026年)2月2日から法律が変わり、一定の要件を満たすことで、休日を会社の設立日として登記することが可能になりました。
今回は、この新しく始まった「設立の登記の申請の特例」について、手続きのルールや注意点を取り上げます。
会社設立日はどのように決まる?

会社を設立しようと考えています。
事業年度の始まりをスッキリさせたいので、4月1日を設立日にしたいのですが、もしカレンダー上で4月1日が土曜日や日曜日だった場合、どうなりますか?



これまでは、4月1日が土曜日や日曜日など法務局の閉庁日(休日)にあたる場合、その日を会社の設立日にすることはできませんでした。



それはなぜですか?



会社は、法務局で「設立の登記」をすることによって成立します。
そして、会社の成立の年月日は、原則として「当該設立の登記の申請に係る受付の年月日」、つまり法務局に登記申請書を提出して受け付けられた日となります。
法務局は行政機関であり、土日や祝日などの休日は窓口が閉まっているため、登記申請を受け付けることができません。
そのため、休日を会社設立日に指定することは不可能だったのです。



なるほど。
窓口が休みの日は申請できないから、設立日にもできないということですね。
休日に設立の登記ができる「特例」とは



では、4月1日が休日の年は、前後の平日にずらすしかないんですね。



これまではそうでした。
しかし、設立当初から事業年度の開始日をきっちり4月1日にしたい、あるいは縁起の良い日を設立日にしたいといった要望が多数寄せられていました。
そこで、令和8年(2026年)2月2日より新しい省令が施行され、設立の登記の申請の特例として、一定の要件の下で「行政機関の休日」であっても会社等の成立の年月日とすることができるようになりました。



休日に会社を設立できるようになったんですか。
それは便利かもしれない。
どのようにすればその特例を利用できるのでしょうか?



申請者が、特定の日(行政機関の休日)に登記をすることを求める旨の手続きをすることで、指定した休日の日付が「登記の年月日」および「会社成立の年月日」として登記簿に記録されるようになります。
特例を利用するための要件



特例を利用するには、具体的にどんな条件を満たす必要がありますか?



主な要件は以下の4点です。
- 登記が成立の要件となる会社等であること
- 設立の登記の際に「本特例を求める旨」および「指定登記日(希望する休日)」を申請書に記載すること
- 指定登記日が「行政機関の休日」であること
- 指定登記日の「直前の開庁日」に申請をすること



4つ目の「直前の開庁日に申請をする」というのはどういう意味ですか?



希望する休日の直前にある、法務局が開いている平日に申請を行わなければならないということです。
たとえば、希望する日が日曜日であれば、その直前の金曜日(祝日でなければ)に申請書が法務局に到達し、受け付けられる必要があります。
オンライン申請や郵送申請の場合でも同様に、その直前の開庁日の業務時間内に到達し、受付がされる必要があります。



1か月前から事前に予約して申請しておく、といったことはできないんですね。



はい。あくまで「指定登記日の直前の開庁日」に申請する必要があります。 なお、ゴールデンウィークや年末年始のように、行政機関の休日が連続している場合は、その連続する休日のうち「いずれか一の日」を登記の日として求めることができます。この場合も、連休に入る直前の開庁日に申請を行うことになります。



では司法書士Kが金曜日に休みをとって三連休にしようかな思っていても、その土日に設立したいという依頼があれば金曜日に申請しないといけないということですか?



そうなりますね…。



嫌なんですか?



うれしいです。
申請書の書き方と添付書類の注意点



申請書にはどのように書けばいいのですか?



本特例を求める場合は、書面申請とオンライン申請で記載する場所が異なります。
書面申請の場合は、申請書の余白に記載します。
オンライン申請の場合は、「その他の申請書記載事項」欄に記載します。



何と書けば伝わりますか?



「登記の年月日は登記すべき事項の『会社成立の年月日』に記載した日付のとおりとすることを求める」という旨を記載します。
そして、「登記すべき事項」欄の「会社成立の年月日」のところに、希望する休日(指定登記日)を記載してください。



なるほど。
委任状や印鑑届書といった添付書類の日付はどうなりますか?
希望する休日の日付にしておくのでしょうか?



いいえ、そこは注意が必要です。
申請書の添付書面については、従前どおり「申請の日まで(法務局に提出する直前の開庁日まで)に作成したもの」を添付する必要があります。
休日付で作成された書類は認められません。



もし、特例を求める記載にミスがあったり、要件を満たしていなかったりした場合はどうなりますか?



本特例の求めに不備があった場合で、登記官が定めた期間内に補正(修正)されなかったときは、「当該求めがなかったもの」として取り扱われます。
つまり、休日の指定は無効となり、原則どおり「申請をした日(直前の開庁日)」が会社設立日になってしまいますので、書類の作成には慎重を期す必要があります。



オンラインで定款認証と設立登記を同時に申請する仕組みもあると聞いたことがありますが、その場合もこの特例は使えますか?



はい、オンラインによる定款認証と設立登記の同時申請を行う際にも、この特例を利用することは可能です。
ただし、申請された日の当日中に定款が認証されなければならないというルールは変わりません。
そのため、申請日(直前の開庁日)当日に公証人とテレビ電話による面談を実施できるよう、あらかじめ公証役場としっかり日程調整をしておく必要があります。
対象となる法人と対象外の手続き



この特例は、株式会社だけでなく合同会社でも使えますか?



合同会社も対象となります。
対象となる法人と、対象外となる手続き・契約などをまとめると以下のようになります。
| 対象となる手続き・法人 (会社の成立要件となる設立の登記) | ・株式会社 ・合同会社などの持分会社 ・一般社団法人、一般財団法人 ・特定目的会社、投資法人 などの設立 ・新設合併による設立登記 ・新設分割による設立登記 ・株式移転による設立登記 | 設立の登記をすることによって成立する各種会社・法人や、会社再編に伴う新設の登記が対象となります。 |
| 対象外の手続き(既存法人の変更等) | ・株式会社や持分会社の「組織変更」による設立登記 ・持分会社の「種類変更」による設立登記 ・特例有限会社の「商号変更」による設立登記 | 既に存在している会社が形態等を変える際に行う設立登記は対象外となります。 |
| 対象外の契約・信託 | ・投資事業有限責任組合(LPS)契約の登記 ・有限責任事業組合(LLP)契約の登記 ・限定責任信託の登記 | 組合契約や信託に関する登記であり、本特例の対象とはなりません。 |



表になるとすごく分かりやすいと言っていいかもしれない。
新しく一から会社を立ち上げるときのための制度だということが一目で理解できました。



はい。
会社設立日は、会社の誕生日としてずっと残る大切な日です。
もし休日に会社を設立したいとお考えの場合は、スケジュール管理が重要になりますので、お早めに専門家へご相談いただくことをおすすめします。
まとめ
- 令和8年(2026年)2月2日より、休日を会社や法人の設立日に指定できる特例が始まりました。
- 特例を利用するには、指定したい休日の「直前の開庁日(平日)」に設立登記の申請をする必要があります。
- 申請書の余白や備考欄に特例を求める旨を記載し、添付書類は申請日までに作成したものを提出します。
- 対象は純粋な新設の設立登記に限られ、組織変更による設立登記や組合契約などは対象外です。
- 要件や不備があると希望日に設立できなくなるため、事前のスケジュール調整と正確な書類作成が必要です。
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