商業登記ハンドブック(第5版)を読む風景(2-2編)

香川県高松市の司法書士 川井事務所です。

前回で第2章株式会社の変更の登記の総論が終わり、今回から各論に入ります。

これは商業登記ハンドブック第5版を読みながら自分なり思ったこと、疑問点、恐れながら補足などを自分用にメモしたものでありながら公開してみるという試みです。

なので、繰り返し読むたびに加筆修正されていくかもしれません。 今回は「2-2編」です。

目次

2-2商号、目的、本支店、支配人、電子提供措置、公告方法、解散事由、資本金の額等の変更による登記

引き続き商業登記ハンドブック(以下「ハンドブック」)を丁寧に読んでいく。

前回で第2章株式会社の変更の登記の総論が終わり、今回から各論に入っていく。

P.189 1商号の変更

商号を変更するのは影響が大きいことである。

登記を変更するのは当然だが、銀行口座の名義や税務署等の役所への商号変更の届け出、名刺や看板の変更など会社名が入っているものはすべて変更しなければならない。

そう簡単に変えられるものではないと考えられる。

ところで、商号の変更登記を申請する際に、会社届出印を改印するかどうかの問題がある。

いわゆる会社実印は、法定の要件(主に大きさ)さえ満たしていれば、印影に何が書かれてあってもよく、個人名が刻まれた印鑑を提出しても構わない。

印鑑と印鑑証明書の照合ができればよいのである。

よって、商号が変わったからといって必ずしも改印しなければならないわけではないが、一般的には改印する。

商号といえば、新株予約権の名称中に商号を用いることがある。

たとえば「株式会社A第1回新株予約権」のような名称である。

この株式会社Aが株式会社Bに商号変更した場合、必ずしも新株予約権の名称を変更する必要はないが、商号変更と同時に新株予約権の名称を変更している例を見たことがある。

新株予約権の名称には商号を入れないほうがいいのかもしれない。

P.191 2目的の変更

ある司法書士が設立登記を申請した会社から目的A追加の依頼があり、その設立から依頼までの間に会社が本人申請で別の目的Bを追加していることを見逃してしまい、設立時点の目的に依頼のあった目的Aのみを追加して申請したら、当然、本人申請による目的Bは削除されたが、削除された目的Bが許認可に関わる絶対に削除してはいけないものだった…という失敗事例を聞いたことがある。

現在の登記簿と現行定款は常に差異がないか確認する必要がある。

P.192 3本店移転(管轄区域外への移転)

商号と同様に本店を移転すると登記以外のことにも影響は大きいと考えられる。

依頼会社が建設業などの許認可を要する事業を行っている場合は、依頼会社の方が詳しい可能性が高いが、念のため本店を移転してよいかどうか確認をした方がよいと考えられる。

会社の本店を移転すると税務署の管轄が変わることがある。

本店移転の依頼時期が決算日後から税務申告前だと考えられるときは、本店移転について会社とその顧問税理士との間でコミュニケーションがとれているか確認した方がよいだろう。

本店移転を決議する機関は、取締役会を設置していない会社の場合は、株主総会特別決議で定款を変更して、株主総会普通決議で移転の時期及び場所を決めてもかまわない。

P.197(d)印鑑届出

令和7年4月21日から、商業登記規則の一部を改正する省令(令和7年法務省令第10号)が施行され、同日以降会社の本店を他の登記所の管轄区域内に移転する登記の申請がされた場合には、本店移転の登記申請と同時にする新所在地を管轄する登記所への印鑑届書の提出が不要となった。

ただし、印鑑カードは引き継がれず、登記完了後に新管轄の登記所に印鑑カード交付申請書を提出する必要がある。

登記に必要な書類すべてに電子署名を施し、完全オンライン申請をすることができても、これだけは書面に押印をしてもらうことになる。

P.203③登録免許税

本店所在場所として建物名まで登記している場合に、たとえば建物のオーナーチェンジなどにより建物名が変わることがある。

この場合、本店変更の登記を申請することとなるが、その場合の登録免許税は、別表第一第24号(一)ツの区分のその他の登記事項の変更に該当する。

P.204 5支店の設置、移転又は廃止(1)手続

支店の設置、移転又は廃止は、取締役会の決議(取締役の過半数の一致)により、設置(移転・廃止)の時期及び場所を定めることによって行うが、取締役会を設置していない会社では株主総会決議により定めてもかまわない。

P.227 資本金の額の減少

資本金の額の減少により減少した資本金の額は、原則として、その他資本剰余金に計上される(会社計算規則第27条第1項第1号。

株主総会で、減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とする決議をした場合は、その額を資本準備金に計上することもできる(会社法第447条)。

資本金の額の減少の登記についての詳細は下記リンクのブログをご参照ください。

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P.238~239(b)添付書面

債権者保護手続きとして官報公告及び日刊新聞紙による公告又は電子公告、いわゆるダブル公告にすることで債権者への個別催告を省略することができる(会社法第449条第3項)。

電子公告をした場合は、電子公告調査期間の調査報告書(会社法第946条第4項)を申請書に添付する必要がある。

上場会社の合併の例だが、この電子公告調査を依頼しておらず合併ができなかった例もあるので注意を要する。

電子公告は、通常、官報公告掲載日と同日に掲載し、調査期間は、民法の期間の計算(民法第140条)の規定により、公告掲載日の翌日から起算する。

減資の場合は、電子公告掲載日(文面日付)の翌日から1か月以内が異議申述期間となるため、調査期間は、起算日の1か月後の前日が満了日となる。

たとえば、3月8日を官報公告・電子公告掲載日とした場合、翌日の9日0時から調査開始となり、4月8日24時(日・祝除く)で調査終了となる。

調査報告書は登記で使用することができる電子署名を施したもので受領することができ、それを添付してオンライン申請することができる。

なお、官報公告と電子公告の掲載日が何らかの事情で同日とならなかった場合でも、効力発生日の前日までに1か月間の申述期間が終了していれば、問題ないと考えられる。

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参考書籍

『商業登記ハンドブック〔第5版〕』松井信憲(著)|商事法務

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この記事を書いた人

愛媛県四国中央市出身
早稲田大学政治経済学部卒業

平成28年司法書士試験合格
平成29年から約3年間、東京都内司法書士法人に勤務
不動産登記や会社・法人登記の分野で幅広く実務経験を積む

令和2年から香川県高松市にて開業
地元四国で超高齢社会の到来による社会的課題への取組みや地方経済の発展のために尽力している

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