実践!代表取締役の住所非表示措置の申出

香川県高松市の司法書士 川井事務所です。

2024(令和6)年10月1日から株式会社の代表取締役の住所非表示措置の制度が開始されました。

一定の登記申請と合わせて申出をすることにより、登記上の代表取締役の住所を非表示にすることができるという制度です。

これにより代表取締役のプライバシーが守られるというわけです。

制度の基本的な内容については、こちらのリンクの記事をご参照ください。

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今回は、この制度により、法務局に申出をする方法について具体的な事例、申請書に添付する添付書類などについて取り上げます。

目次

事例①(代表取締役住所移転・本店が遠方のバーチャルオフィス・スタートアップ)

依頼内容:代表取締役の住所移転

基本情報

  • 県外のスタートアップ企業
  • 本店はバーチャルオフィスで当事務所から簡単に行けるような距離ではない
  • これまでに取引があり、いつもはマイナンバーカードによる電子署名をいただき完全オンラインで申請している
  • 創業者が90%以上の株式を持ち実質的に支配している

添付書類

完全オンライン申請するケース

株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面

基本情報にあるとおり、当事務所から簡単に行ける距離に依頼会社の本店がないため、配達証明で書類を郵送する方法により実在性を確認。

郵便局窓口で郵送手配する際に、念のため、封筒記載の本店住所・会社名が「書留・特定記録郵便物等受領証(お客様控)」に全部写るように依頼。

なお、封筒記載の本店住所と会社名は登記簿どおりに書きます。

公開されている「株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面」の
https://www.moj.go.jp/content/001422351.pdf

「5 本店実在性の具体的確認方法」には

「別添のとおり申出会社の本店所在地宛に配達証明による郵送にて確認した。」

と記載しPDFデータにして、次のPDFデータを結合させて自分の電子署名をする。

  • 「書留・特定記録郵便物等受領証(お客様控)」写し
  • 「郵便物等配達証明書」のはがき表裏両面の写し

なお、依頼会社と当該バーチャルオフィスとの契約書についても確認済みです。

代表取締役等の住所等を証する書面

完全オンライン申請予定のため、住民票などの紙の書面を添付しないため、申請書の申出についての添付書類として

「電子証明書(登記委任状の電子署名)」

とだけ記載してみました。

株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面

「登記の申請を受任した資格者代理人(司法書士又は司法書士法人に限られます)が犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)の規定に基づき確認を行った実質的支配者の本人特定事項に関する記録の写し」として、当事務所で使用している登記申請ソフトに入力した本人確認記録をPDF出力して、次のPDFデータを繋げて自分の電子署名をする。

  • 「実質的支配者の身分証明書(住所移転後)」写し
  • 「依頼会社の株主名簿」写し

また、不要と考えますが、念のため住所移転後の住民票の写しPDFデータも付けてみました。

添付書類については以上です。

申請書については、「その他の申請書記載事項」として次のように記載します。

下記の者につき、代表取締役等住所非表示措置を講ずるよう申し出る。
なお、申し出るに当たって、以下を添付する。
本店の実在性を確認したことを証する書面
電子証明書(登記委任状の電子署名)
実質的支配者の本人特定事項に関する確認記録の写し
               記
   資格 代表取締役
   住所 第5東京市本町1番地1
   氏名 メタクマ

事例②(代表取締役交代・近所に本店・実質的支配者間接支配)

依頼内容:代表取締役の交代

基本情報

  • 県内の企業
  • 当事務所の近所に本店所在地
  • これまでの取引はなく、初めてのご依頼
  • 依頼会社の親会社の株式を100%保有する者が間接的な実質的支配者

添付書類

添付書類は全て紙の書面

株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面

基本情報のとおり、依頼会社の本店所在地が当事務所の近所で、歩いていくことができるため、書類を受け取りに行った際に、本店所在場所を確認。というか、ご依頼をいただく前から知っていました。

「株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面」の「5 本店実在性の具体的確認方法」には

「登記申請代理人が自ら本店所在地を訪ね、対象会社従業員から書類を受領した。」

と記載。

一応、スマートフォンで本店オフィスの外観など写真を撮ってみたものの、画像は添付はしませんでした。

代表取締役等の住所等を証する書面

代表取締役の変更の登記でお預かりした印鑑証明書を流用。

株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面

事例①と同様、登記申請ソフトの本人確認情報の記録を紙で出力し、不要かもしれませんが、一応、自分の職印で押印。

次のものを合綴。

  • 依頼会社の株主名簿と親会社の株主名簿の写し
  • 実質的支配者や新代表者の身分証明書写し

非表示措置はメインの登記完了後に行われる

代表取締役の住所非表示措置は、メインの登記(事例①であれば代表取締役の住所変更登記、事例②であれば代表取締役の変更登記)が完了した後にされるそうです。

従いまして、登記の完了通知が届いた後もしばらく登記事項証明書を取得することができません。

完了日当日に取得できることもあれば、翌営業日、あるいは数日かかることもあるようです。

参考書籍

『商業登記ハンドブック〔第5版〕』松井信憲(著)|商事法務

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この記事を書いた人

愛媛県四国中央市出身
早稲田大学政治経済学部卒業

平成28年司法書士試験合格
平成29年から約3年間、東京都内司法書士法人に勤務
不動産登記や会社・法人登記の分野で幅広く実務経験を積む

令和2年から香川県高松市にて開業
地元四国で超高齢社会の到来による社会的課題への取組みや地方経済の発展のために尽力している

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